@softがMacAmpの権利をNullsoftより取得したのが1998年です(Nullsoftは1996年頃から開発?)。当時MacでMP3と言えば、エンコーダがMPeckerの「MPecker Encoder」、プレーヤは@softの「MacAmp」が定番であり、それ以外の選択肢はほとんどありませんでした。
MacAmpの機能は現在のMP3プレーヤと比較しても引けを取らず、それどころか現在標準とされる機能はMacAmpが決定付けたとさえ言えるもので、スキンでの外観変更、ビジュアルプラグインの装備、更には再生フォーマットや機能の追加もプラグインにより可能でした。当然多くのユーザから多数のスキン、各種のプラグインが公開され、人気はゆるぎないものと思われました。(画像は「MacAMP 1.0b7r2J」で「quickamp v1.1」スキンを使用したもの。左のボリュームダイヤルはダミー、偶然とはいえQT5で採用されたスライド式ボリュームになっている)
当初、全くサポートを行わない、無償のベータ版として開発/公開されていましたが、1999年9月に「MACAST」と名称を変更、$24.95のシェアウエアとして正式にリリースされます。
ここで@softは重大な過ちを犯します。新たに公開されたMACASTは、MacAmpとのスキン互換性を放棄、多くのユーザ達を失望させました。また、フリーで利用可能なプレーヤがリリースされ始め、価格設定が高いと感じさせたことにより、求心力を失っていったようにも思います。(ちなみに、NullsoftオリジナルのWinampは、期限付きベータとして公開されていたが、1999年8月にリリースされたv2.50以降フリーウェアに)
日本では、当初(@softではなく)@sofaが日本語ローカライズを行っていました。そして、MACASTの正式公開とほぼ時期を同じくして「正式に@softの一員となりました」と宣言、オフィシャルな日本語版のリリース元となります。(この宣言はまだページが残っている。「@soft-J 移転のお知らせ」)
余談ですが、僕の記憶が確かならこの@sofa、MPecker Encoderの日本語版を日本語ミラーサイト(!?)で公開していたはずです。順調に開発が進んでいたMPecker Encoderは、パテント問題によりバイナリ(実行ファイル)の公開停止を余儀なくされ、その後Proteron社から「MPegger」として復活することになります。そのMPecker Encoderの公開停止も、1999年の夏頃だったと記憶します。MacでのMP3環境の構築が絶望的に思えた時期でした。(これもページが残っていた。「the MPecker website日本語ページ」 でも、@soft名義になっていながら「MacAMPのメーカの@softとは一切関係ありません」と書いてある。上記のオフィシャルになった部分の記載については誤りがあるかも...)
あの当時、MacでMP3を利用していた人の全てがMacAmpを使用した、と言っても過言ではありません。そして、現在に至る全てのMP3プレーヤがMacAmpの影響を受けている、とも言えるでしょう。(言い過ぎかなぁ...?)
近年に於いても、Unsanity Echoの公開当初に、http://www.macamp.net/というURLがミラーサイトだったり、本家NullsoftがMac用MP3ソフトウエアを開発しているとの噂があったりと、MacAmpという名前を意識させられることもしばしばです。
個人的思い入れもありますが、それを差し引いても「MacAmp」はMacでのMP3環境を語る上で、無視することのできないMP3プレーヤと言えるでしょう。
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